なぜ名古屋の中古マンションは値上がりしない? 東京は“億ション”続出、大阪も上昇中の中で見える地域差の理由
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首都圏を中心に、中古マンションの価格が記録的な高騰を続けています。東京都内では、2026年9月の平均価格が再び1億円を超え、これで5か月連続の“億ション”状態。一方で、大阪でも平均価格が5200万円を超えています。しかし、名古屋だけはその波に乗らず、平均価格が約2900万円前後で横ばいの状態が続いています。なぜ、名古屋だけが上昇しないのでしょうか。
まず背景にあるのは、新築マンションの価格上昇です。建築資材や人件費の高騰により新築物件が高値となり、その影響が中古市場にも波及しています。東京カンテイの調査によると、2021年以降、東京と大阪は右肩上がりの傾向が明確で、特に東京では急激な上昇が見られます。
市場動向について、東京カンテイ市場調査部の髙橋雅之上席主任研究員は「中古価格が上がる理由は主に三つ」と話します。ひとつは人手不足による新築価格の上昇に連動している点。次に株高による富裕層の購買意欲の高まりで、実需よりも投資目的の“買い”が増えていること。そして三つ目は円安による外国人投資家の流入です。
こうした要因から、東京と大阪では「売り手市場」が続き、強気の価格設定が常態化しているといいます。今後も「大きく下がることは考えにくく、高止まりもしくは緩やかな上昇が続く」との見方です。
では、名古屋の価格が上がらないのはなぜでしょうか。髙橋氏によると、海外からの知名度不足が一因だといいます。東京や大阪のように世界的な都市としてのブランド力がまだ弱く、外国人投資マネーの流入が少ないのです。
また、地域の住宅意識も大きく関係しています。名古屋では昔から「マイホーム=戸建て」という考えが根強く、同じ予算なら「郊外で庭付きの家を買いたい」という人が多い傾向にあります。そのため、マンション同士の価格競争が起こりにくいのです。
さらに、都心志向の違いも指摘されています。東京や大阪では「職場が都心に集中しているから、通勤しやすい場所に住みたい」というニーズがありますが、名古屋では車通勤が一般的。勤務先が郊外にあるケースも多いため、わざわざ中心部の高額マンションを選ぶ理由が少ないのです。
ただし、名古屋にも価格が上昇する可能性はあります。その鍵を握るのがリニア中央新幹線の開業やインバウンド需要の拡大です。リニアによって東京・大阪とのアクセスが飛躍的に向上すれば、名古屋の地価や中古マンションの需要にも影響が出るかもしれません。また、外国人観光客を意識した都市開発が進めば、「住みたい」「投資したい」と思わせる街としての魅力が高まり、資金が流入する可能性もあります。
名古屋の中古マンション市場は今のところ落ち着いていますが、政治や金融政策、都市開発などの外部要因によって、大きく変化する余地を秘めています。長期的には、「静かな市場」のまま安定を保つのか、それとも新幹線とともに次の成長局面を迎えるのか――その行方が注目されています
