「大学無償化」に潜む落とし穴とは?
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2026年4月、公立高校の授業料が全世帯対象で完全無償化され、さらに子どもが3人以上いる世帯には大学授業料や入学金も一部無償化される制度が始まった。私立大学でも最大年間70万円の補助が用意されている。しかし「高等教育の機会均等」を掲げたこの政策には、大きな問題点が潜んでいる。
小学生レベルの授業内容…大学の質は本当に大丈夫か?
財務省が4月に発表した資料では、「定員割れの私立大学の中には、小中学校で学ぶような内容を教えている」として、大学教育の質を問題視した。実際にある私立大学のシラバスには「原稿用紙の使い方」や「四則演算の基礎」など、小学生レベルの内容が記載されていたという。
進学率の上昇とともに、大学の入学定員が拡大した結果、学力の低い学生が大学に流入している現状がある。2024年度の大学進学率は59.1%と過去最高を記録する一方で、定員割れの私立大学は全体の59.2%にも達しており、年々増加している。
増える大学、減る学生…「ゾンビ大学」続出の予兆
少子化が進む中、大学の数はむしろ増えている。2024年には過去最多の813校に達し、そのうち私立大学の比率は76.8%にまで増加。結果として、定員割れを起こした私大が「ゾンビ化」し、税金が無駄に投入されている構図が見えてくる。
私立大学には年間3000億円の税金が投入されているが、十分な議論なしに無償化を推し進めると、教育の質を犠牲にしてゾンビ大学を延命させるだけになりかねない。
無償化の前に問われるべき「高校教育の質」
高校生の学力低下も深刻だ。文科省の調査では、高3で休日に6時間以上勉強する生徒は2割にとどまり、「全く勉強しない」と答えた生徒が3割を超えた。高校の学力の二極化が進む中で、大学進学率が6割に迫るのは歪な構図だ。
高校・大学ともに質の低下が進む一方で、無償化政策だけが先行している。義務教育の見直しや高校教育の底上げが行われないまま進学率だけを上げれば、格差はさらに広がる恐れがある。
「地方創生×大学新設」の失敗も顕在化
無計画な大学新設も問題だ。山形県飯豊町に2023年に開校した「電動モビリティシステム専門職大学」は、わずか4人しか在籍せず、2026年度の学生募集を停止。町は土地を無償提供し、校舎費3.5億円を補助したが、大幅な定員割れに終わった。
こうした「地方創生」の名の下での大学新設は、過疎地に無理に学生を呼び込むという本末転倒な形になっている。今後は政府がこうした動きに歯止めをかけるべき時期に来ている。
今こそ必要なのは、大学無償化より「教育の再設計」
教育改革は即効性がなく、政治家にとっては人気取りにならないため、避けられがちだ。だが、目先の無償化ばかりではなく、教育の質をどう確保し、大学数をどう整理するかという「教育の再設計」が今こそ求められている。
